【論文採択】キタオットセイのオスにおける被毛中テストステロン濃度の研究

PDの大槻です.

 

博士論文の一部がConservation Physiology誌に掲載されました.

 

Testosterone levels in hair of free-ranging male northern fur seals (Callorhinus ursinus) in relation to sampling month, age class and spermatogenesis

 

Mayuko Otsuki, Takanori Horimoto, Motoki Kobayashi, Yuka Morita, Shigeho Ijiri, Yoko Mitani

 

https://doi.org/10.1093/conphys/coab031/

 

キタオットセイの被毛中テストステロン濃度と採集月・年齢・精子形成を比較した研究です.野生下の鰭脚類(アザラシやアシカなど)の性成熟を把握することは個体群動態を理解するために重要です.個体の性成熟は血中の性ホルモン濃度で分かります.しかし,野生下の鰭脚類の血液採取は実用的ではありません.近年,動物福祉の観点からも侵襲の少ない方法で検体を採集し,ホルモン濃度を測定する研究が増えています.北海道道南沖においてキタオットセイのオスが冬から春にかけて観察されていますが,キタオットセイの性成熟を低侵襲的に判別する手法はありません.

 

そこで,道南沖において捕獲したキタオットセイのオスの被毛を採集し,オスの性成熟の指標となるテストステロンを抽出・測定しました.そして,採集月・年齢・精子形成と比較することで性成熟の判別ができるか検証しました.

 

 

 

その結果,5月において4歳以上の個体のテストステロン濃度が高く,それらの個体は成熟と判別することができました.将来,空気銃などで被毛の採取ができれば,捕獲することなく成熟個体と未成熟個体の判別ができると考えられました.

 

サンプル採集にあたりたくさんの方々にお世話になりました.お礼申し上げます.

 

詳細は原著論文にてご確認ください.

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