世界海棲哺乳類学会WMMC報告(2)

M2のCくんも報告を書いてくれました!


2019年12月7-12日の6日間スペインのバルセロナで開催された,世界海生哺乳類学会-World Marine Mammal Conference-に参加してきました.1,2日目がワークショップへの参加,3-6日目がポスターや口頭での発表,また様々なイベントに参加するといった内容でした.私は,ポスターで『ミトコンドリアDNAとマイクロサテライトを用いたキタオットセイの遺伝的構造の解明-Genetic structure as revealed by mtDNA and Microsatellites in Northern Fur Seals, Callohinus urusinus-』という発表を行いました.

ワークショップは,『-海生哺乳類の環境DNA-Marine Mammal eDNA』と『-第3回海生哺乳類のゲノム科学-Genomics of Marine Mammals Ⅲ』という遺伝子研究関連の2つに参加してきました.今回は環境DNAについて書きたいと思います.環境DNAは近年著しく発展してきている遺伝子研究の一分野で,生物に直接的な影響を与えることなく,その生物が生息している環境の水を汲んだり,糞を採集することにより,その生物の遺伝子情報や,餌生物の解明が出来る,というものです.その生物がその水塊を通過後何分まで遺伝子情報を読み取ることが出来るのか,生物に対してどの距離から,どの位置から水を汲むのがいいのか,どの様な解析をすればよりよく遺伝子情報を読み取ることが出来るのか等基礎的なことからとても詳しく学ぶことが出来ました.発表を一通り聞いた後は,自分が興味を持っている研究過程について,グループごとに分かれ議論を行いました.話を聞くと,その道のプロだけでなく,自分のようにこれから挑戦したいと考えている同世代もたくさん参加しており,自分がやりたい研究に対して,その方法や準備段階,解析といった手順まで各々疑問をぶつけあうことで,有意義な時間を過ごすことが出来ました.

3-6日目の発表では,同時に5会場で口頭発表が行われていました.自分の見たい発表が終われば次の会場へ,といった具合にたくさんの人が動き,自分の研究室の人にも会えないほど会場は人であふれかえっていました.私は,シャチや遺伝子の研究を中心に聴いて回りました.シャチでは,ニシンの分布とシャチの分布の比較,魚と漁業者とクジラと観光客がどのように関わりあっているのか,シャチの住んでいる地域間で鳴き声の特徴にはどのような関わりがあり交流はあるのか等とても興味を惹かれるものばかりでした.自分自身のポスター発表も,聞きに来てくださる方がおり,何とか拙い英語で伝え,意見を頂くことが出来ました.ただ,質問に対しての返答等については,なかなか言葉が出てこない場面もあり,もっと話せるようになりたい,と改めて実感させられました.

発表以外では,ビデオナイトと学生イベントが特に印象に残りました.ビデオナイトは研究者各々が作成したビデオを持ち寄り上映する,というイベントだったのですが,B●CやN●Kのドキュメンタリーをも凌ぐのではないのかというクオリティのものや,コメディ調の笑いを取りに来るものなど全部で20弱もの上映が行われました.クロミンククジラがシャチに跳ね飛ばされ,全身が宙に浮いたシーンは今でも鮮明に脳裏に焼き付いています.いつか実際に見たいと思わせられるようなシーンばかりでした.学生イベントは,初めはビアホールでの立食会で各々ビンゴカード(内容に当てはまる人を探すというもの)が渡され,ゲームを通して多くの学生と交流をすることが出来ました.ビンゴカードの中には’学会まで3つ以上の飛行機を乗り継いできた人’という項目があり,日本人学生は重宝されていたように思えました.その後は,クラブを貸し切り朝まで踊り倒す,,,というものでこれが海外,国際学会か,,,とその雰囲気に少し圧倒されつつも楽しい時間を過ごすことが出来ました.

次回 (2年後) は,フロリダでの開催とのことで,新しい研究成果と共にまた参加したいと思います.

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