「なぜ,彼らはそこにいるのか?」
海棲哺乳類と、それを取り巻く環境との相互作用を明らかにするための研究を行っています。
▼現在の主要な研究
「なぜ海棲哺乳類は漁業と競合するのか」
オットセイやアザラシ,ラッコなどは,かつて肉や毛皮のために乱獲され,日本周辺海域で減少したり,いなくなったりしました.彼らが水産資源として利用されなくなり,保護された結果,その数を増やし,漁業と競合するようになりました.沿岸での人間活動と海棲哺乳類とがどうしたら共存できるか.私たちはそのための研究をしています.
「なぜ知床半島の東と西で見られる海棲哺乳類に違いがあるのか」
世界自然遺産地域である知床半島周辺海域は,知床半島によってオホーツク海と根室海峡に分けられており,知床半島を境にして西側よりも東側の根室海峡の方が急深になるという海底地形となっています.この海域では4月に海氷がとけた後,植物プランクトンのブルームが起き,5〜6月になると海鳥類やヒゲクジラ類がやってきます.しかし,観光船の目視情報から,シャチは根室海峡の羅臼沖で見られるものの,オホーツク海の網走側ではあまり観察されないこと,一方で,カマイルカは網走側ではよく観察されるものの,羅臼側ではあまり観察されないなど,違いが見られることが明らかとなっています.海棲哺乳類の分布に差異が見られるのはなぜかを明らかにするための研究をしています.
知床の海棲哺乳類に関する研究についてはこちら.
「なぜ海棲哺乳類は回遊するのか」
海棲哺乳類の多くは,繁殖に適した場所と採餌に適した場所を季節的に交互に行き来しています.どのように回遊しているのか,なぜ回遊しているのか,性成熟段階や雌雄で違いはあるのか?など様々な疑問について,バイオロギング手法や安定同位体などの化学マーカーによる研究を行っています.
研究対象種の紹介
研究手法の紹介
- 目視調査(近日公開予定)