成熟オス(左),この年生まれの子(真ん中),成熟メス(右)
目次
1.オットセイとは
2.オットセイの分布と生活史
3.オットセイの個体数の変遷
4.オットセイの摂餌生態と漁業との競合
引用文献
1.オットセイとは?
正式な名前は「キタオットセイ」
成熟オス:体重270kg,体長2.1m
成熟メス:体重50kg,体長1.5m
オスの方が大きくなる性的二型を示します.
生まれたばかりの子:体重6kg,体長は60-65cm
体長はどこからどこまで?
©堀本
オットセイの体長と全長.
体長は上図の1,鼻先から尾の先端までを計測します.図の2,鼻先から後足ヒレの先端までは全長と呼びます.
オットセイの年齢
オットセイの歯は,ヒトと同じく,エナメル質,象牙質,セメント質からなります.エナメル質は胎児期に形成され,出生前に形成が止まります.象牙質は出生前に形成が始まり,明帯(透明帯)と暗帯(不透明帯)からなる成長層が一年に一本蓄積され,歯髄腔が埋まるまで形成され続けます.この層を数えることで年齢がわかります.
成熟年齢
オットセイのメスもオスも3〜7歳で性成熟します.ただし,オスがハーレムを持って交尾できるようになるのは8〜10歳になってからです.
オットセイの成長
堀本(2015)
オットセイはオス,メスとも通常4歳前後で生理的な成熟をむかえ,メスはそれ以降,ほとんど体長は大きくなりません.一方,オスはハーレムを形成して実際に繁殖可能になる社会的成熟を迎える8〜10歳まで体長が大きくなり続けます.
年齢とヒゲの色
オットセイのヒゲは加齢に伴って黒色から白色へと変化します.
左側の親子写真の母親はヒゲが茶色く,若い個体であるとわかります.右側の親子の写真では,母親が白いヒゲをしており,年齢が高い個体であるとわかります.
ヒゲが黒から白に変わるときは,先端の方が黒や茶色で,途中から白に変わっています.
オットセイの見分け方
北海道の沿岸には,オットセイの他に,トド,アザラシ類(ゼニガタアザラシ,ゴマフアザラシ,アゴヒゲアザラシ,クラカケアザラシ,ワモンアザラシ)が分布します.