2023/9/26-10/2 北辰丸調査航海

2023年9月から10月に実施された北辰丸での海棲哺乳類目視調査について,M1のSさんが報告してくれました!


9月26日から10月2日にかけて、北太平洋~根室海峡~オホーツク海を航路とした北辰丸での調査航海が行われました。

北辰丸は、北海道立総合研究機構 水産研究本部 釧路水産試験場の船です。海獣班からは、私と博士課程のLさんが乗船しました。釧路港で乗船し、北海道南東部の海域から根室海峡を抜け、オホーツク海までの航路を往復して釧路港に帰ってくるスケジュールで、約1週間の目視調査を行いました。

 

この調査の目的は、シャチによる漁業被害の軽減対策検討に必要なデータ収集を行うことです。調査対象をシャチとしながらも、観測中に発見した海棲哺乳類をすべて記録していきました。

いつも通り、荒天でなければ、アッパーブリッジで観測を行います。北辰丸のアッパーの柵は低く、開放的な眺めで調査を行うことができました。

写真1:アッパーブリッジからの景色

 

先に申し上げておくと、残念ながら、本航海でのシャチの発見はありませんでした。しかし、調査を行った時期と海域でシャチが見られなかったというデータも、大切な結果です。

シャチの漁業被害が確認されている釧路のカレイ漁はこれからですが、調査を行っていた時期、釧路沖ではイワシの巻網船が操業していました。シャチが本当に巻網船を避けているのか、そして、シャチの分布は餌生物や海洋環境とも関係があるのか・・・。「シャチがいなかった」理由を知るための分析も重要です。

 

最後に、シャチは見つけられませんでしたが、様々な鯨類を観察することができたので、印象に残ったシーンをご紹介します。

水深の深い場所では、写真2のように、近い距離で並んで泳ぐ2頭のマッコウクジラが観察され、印象的でした。

写真3はハナゴンドウの群れなのですが、最初、シャチの群れだと思って船を近づけると、あれ?アイパッチがない・・・。ハナゴンドウだと分かった後も、様々な年齢の個体が構成する群れを観察するのは、楽しかったです。

 

写真2:2頭並んでゆっくり泳ぐマッコウクジラ

写真3:ハナゴンドウの群れの一部

 

北海道沿岸のシャチの現状を把握するために、これからも引き続き分析、そしてさらなる調査を行っていけることを願っています。

 

本調査でお世話になりました皆様、Readyforクラウドファンディングでご支援いただきました皆様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

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