【論文採択】キタオットセイのオスの糞中テストステロン代謝物濃度における糞組成の影響

PDの大槻です.博士論文の一部がCoastal Marine Scienceのレポジトリーに公開されました.

Effect of diet on faecal testosterone metabolite levels in a northern fur seal (Callorhinus ursinus) expressed as ash-free dry weight

Mayuko Otsuki, Kaoru Kohyama, Wataru Goshima, Motoki Kobayashi, Yuya Hasegawa, Yuka Morita, Shigeho Ijiri and Yoko Mitani

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?search_type=2&q=1624955483380

動物に非接触で得られる糞を用いたステロイドホルモン代謝物濃度が,繁殖などの指標として注目されています.一般的に糞中ホルモン代謝物は,糞の乾燥重量(無水)基準で表します.しかし,キタオットセイは,日和見食性でさまざまな海洋生物をエサとしています.そのため,その糞には有機物の他に無機物(魚の骨など)が含まれます.ステロイドホルモン代謝物は有機物から構成されますが,糞中の有機物・無機物の割合は,キタオットセイが捕食するエサによって変わることが考えられます.しかし,表現される糞中濃度への影響は不明です.

 

そこで,オットセイにさまざまなエサを与え,糞組成を比較しました.また,オスの繁殖生理の指標となるテストステロンに着目し,乾燥重量と有機物重量で示したテストステロン代謝物濃度の関係を検証しました.

 

その結果,糞中有機物含量は魚類よりもイカを与えたときに高くなりました.また,糞中テストステロン代謝物濃度を有機物重量あたりで表すことで,繁殖生理状態をより正確に理解できることが示唆されました.

 

サンプル採集にあたり水族館職員の皆様に大変お世話になりました.お礼申し上げます.

 

詳細は原著論文にてご確認ください.

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