PDの大槻です.
修士論文がMarine Mammal Science誌に掲載されました.
http://doi.org/10.1111/mms.12814
知床・根室海峡に来遊する鯨類が発する音(鳴音)に関する研究です.
根室海峡では観光船などによる鯨類の観察が行われています.しかし,それ以外の時期における鯨類の観察は少なく,夜間に観察ができません.また,根室海峡は夏季に海霧に覆われることが多く,冬季に海氷が接岸します.そのため連続した観察が難しく,季節や昼夜を通した根室海峡に来遊する鯨類の存在について不明でした.
鯨類は採餌やコミュニケーションのためさまざまな鳴音を発します.そこで受動的音響観測を用い鯨類の鳴音から季節や日周変動を明らかにしました.
受動的音響観測とは,録音装置を海底から固定し,周辺の音を録音する観測方法です.この方法を用いて種判別ができた鳴音は,シャチ・マッコウクジラ・カマイルカでした.シャチは春,マッコウクジラは夏,カマイルカは晩秋に多く録音されていました.その中でもカマイルカの鳴音は夜間に多く確認できました.海氷がない時期において鯨類が昼夜問わず根室海峡を利用していることが示唆されました.
本研究を行うにあたりフィールドではたくさんの方々にお世話になりました.お礼申し上げます.
詳細は原著論文にてご確認ください.