2023年9月に実施された新青丸調査について,M1のSさんが報告してくれました!
8月30日から9月13日にかけて、オホーツク海を中心とした新青丸での海洋調査が行われました。
今回の調査のスケジュールは、八戸港から乗船・出港、オホーツク海および環オホーツク海を航行、小樽港で下船となります。
海獣班からは、私と博士課程のLさんが参加し、北海道大学の学生や先生、技術職員、東京大学大気海洋研究所の技術職員の皆さまと一緒に乗船しました。
海獣班の役目は、もちろん海棲哺乳類の目視調査です。航行中は、アッパーブリッジまたはブリッジから、海棲哺乳類の探索と記録を行いました。
一方、他の乗船者たちには、ある大きなミッションがありました。それは、昨年、オホーツク海に設置した係留系を回収することです!
回収中、海獣班のメンバーは、心の中で応援しながら、静かに見学です。
写真1:係留系を回収している様子
本航海は係留を回収するために行われましたが、海獣班も乗船させていただき、例年はあまり調査を行わない時期にオホーツク海と根室海峡の調査ができました。
そこで出会った哺乳類たちの一部を、以下に紹介していきます!
まずは、最も印象的だった発見の一つ、カマイルカの群れです!
最初は水平線上に発見したのですが、どんどん船に向かって泳いできて、最終的には船に並走している個体も見られました。100頭を超える群れに、目視調査を手伝ってくれていた学生も感動していました。
写真2:船と並走しているカマイルカ
水深が深い場所では、マッコウクジラを発見!斜めに噴出するブローと、写真3にあるような特徴的な形(丸みを帯びた三角形)の背びれで識別します。
写真3:マッコウクジラの噴気と背びれ
海棲哺乳類目視のために航行させていただいた根室海峡では、イシイルカの群れが、水しぶきをあげながら元気よく通過していきました。
写真4:スプラッシュをあげながら泳ぐイシイルカの群れ
調査した時期がちょうどマッコウクジラのシーズン中だったこともあり、マッコウクジラを複数回発見することができましたが、5月に根室海峡で頻繁に観察できたシャチは、発見がありませんでした。4月に入学してから半年ほど、3回の長期航海に参加させていただいたことで、季節によって見られる海棲哺乳類が移り変わっていく様子を体感できました。
最後に・・・
今回の調査で一番大変だったことは、船内で新型コロナウイルスが流行ってしまったことです。船という特殊な空間で過ごす上で戸惑うことも多く、研究者全員が大変な思いをしましたが、なんとか調査を乗り切ることができました。
大変な状況の中、目視調査にご協力くださった皆さま、そして、本調査でお世話になりました関係者の皆さまに、心から感謝申し上げます。