卒業生の石川くんの卒論について,共同研究者であるPDの大槻さんがまとめた論文が掲載決定となり,紹介記事を大槻さんが書いてくれました!
南極海に生息するクロミンククジラのオスの摂餌生態を調べた論文がPolar Scienceに掲載されます.
Ishikawa H*, Otsuki M*, Tamura T, Konishi K, Bando T, Ishizuka M, Ikenaka Y, Nakayama S.M.M, Mitani Y. Foraging ecology of mature male Antarctic minke whales (Balaenoptera bonaerensis) revealed by stable isotope analysis of baleen plates. Polar Science. https://doi.org/10.1016/j.polar.2021.100785 (in press) *equally contributed.
クロミンククジラは,南半球の夏に南極海でナンキョクオキアミなどを採餌し,冬になると低緯度海域で繁殖を行います.本種の摂餌生態を把握できれば,生活史を理解することに繋がります.しかし,クロミンククジラのオスに関して連続した長期的な摂餌履歴は明らかになっていませんでした.ヒゲ板の安定同位体比分析を用いることで,同位体比の変動から数年の摂餌履歴を追うことができます.(安定同位体比についてはhttps://hokkaidocean.sakura.ne.jp/2021/03/28/rep-2/を参照)そこで,同位体比から成熟オスの摂餌生態を調べました.
クロミンククジラは主にナンキョクオキアミを採餌しますが,海域によっては,コオリオキアミの割合が高くなる傾向がみられました.また,ヒゲ板の同位体比に変動のない個体が1頭いたことから,冬に低緯度海域に移動せず,南極海周辺海域に留まる個体がいることが示唆されました.