【鳥山の写真_霧の中現れたのは鳥!鳥!鳥!】
4年生のHさんが調査報告を書いてくれました!
今回は知床半島で調査を行ってきました。
知床半島沿岸海域は,世界的に生物多様性の非常に高く,海棲哺乳類や魚類,動物プランクトンなどの生物やそれらを対象とした観光業・漁業が集中しています。
半島周囲の海底地形や物理的な水塊構造がこのホットスポットの形成に寄与していると予想されています。
本研究は,海洋物理的特徴がプランクトンや魚類の分布に影響し,高次捕食者が集まるホットスポットを形成するメカニズムを解明し、また,ホットスポットにおける海洋プラスチックが生態系へどのように影響するかを明らかにすることを目的としました。
網走で4日間、ウトロで1日間、羅臼で3日間、調査を行いました。
調査項目としては、大まかにすべての地点で
・海棲哺乳類の目視調査
・環境DNAの調査
・プランクトン調査
・海洋プラスチックの調査
を行いました。
<網走> 海況不良!鳥に包囲される!
網走では観光船チパシリの皆さんにご協力いただきました。
実は網走では海況が悪く、海に出られないことが多かったです。
なんとか、海洋物理環境とプランクトン、海洋プラスチックの調査は行うことができました。NORPACネットをひくのが完全に人力なので、そこは少し大変でしたが、前回の事前調査で一回作業は行っていたので、割とスムーズに作業をすることができました。
しかし、網走4日間あったのですがなんと、海棲哺乳類を発見することができませんでした。とっても残念でした。
ですが、鳥山を発見し、海鳥に囲まれるという経験をすることができました。
そこで気づいたのは、案外海鳥は海面から飛び立つのが下手だということです。
船が進むと、鳥たちが逃げていくのですが、その時に、まるで水面を走るかの如く船を避けて行って、すぐに飛び立っていくことは難しいようでした。そんなところがちょっと可愛かったですが、こんなに飛び立つのが遅くて大丈夫?と少し心配にもなりました。
<ウトロ> 水中音響記録計設置!来年に期待!
ウトロでは第二十八栄宝丸の皆さんにご協力いただきました。
波は穏やかで、作業がしやすかったです。
ウトロでは水中音響記録計を水中に設置しました。
幸い網走とは異なり海峡は安定し無事出航することができました。
大きな記録計を海に沈めます。どぼんっ。
【係留計の写真_案外大きいのです。手の大きさと比べてみてね。】
この機械でウトロの海の1年間海棲哺乳類の鳴音を記録することができます。
どんな鯨類がいつ来遊しているのか…
ワクワクですね。
<羅臼>やっと海棲哺乳類を発見!!
羅臼では観光船はまなすの皆さんと船外機船鯱の皆さんにご協力いただきました。
網走、ウトロで海棲哺乳類を見ることができず、羅臼でこそは!!と不安と期待を持ちながら出港しました。
霧の中を進みまず発見したのはイシイルカ
今回の調査初の鯨類発見!
実は今回ブログの執筆をさせていただいていますわたくしと調査サポート要員の一人が、「クジラを見られない人」の疑いをかけられていたのですが、無事容疑を晴らすことができました。一安心ですね。
そのほかナガスクジラやマッコウクジラも目視することができました!
そしてなんといっても大迫力だったのはシャチですね!
私は初めてシャチを見たのですが、何頭ものシャチが泳いでいる姿は圧巻でした。
オスのシャチの背鰭が大きく立派で、目立つのですが、案外柔軟性があり、泳いでいる最中に若干揺れているのが印象的でした。
観察していると、スパイホップといって水面から顔を出してこちらを覗いてみたり、ブリーチングといって海面から体を躍らせてみたり、船の作る波に乗ってみたり、船の下にもぐってみたりと、とってもアクロバティックな一面も見せてくれました。
【シャチの写真➀_親子でしょうか?仲良く泳いでいますね。】
【シャチの写真②_ブリーチング!】
この時、個体識別のためにサドルパッチの写真を撮るのですが、この時「あの子はもう撮ったよね?」「あれ?あの子は?」「あー!!そっち向かないで!サドルパッチ見せて!」とシャチに振り回されていました。
今回の知床調査では、船酔いでダウンする人も出ませんでした。
私自身とても楽しみながら調査することができました。
ただしわたしの「クジラを見られない人」容疑は晴れましたが、もうひとつ「霧女」の嫌疑は残ったまま。次の調査で無実を証明したいところです。
海況にはなかなか恵まれませんでしたが、最終的には海洋環境の調査も海洋プラスチックの調査も鯨類目視も行うことができたので良かったです。
本調査は、調査にご協力いただきました船の皆様、宿泊施設の皆様、知床財団の皆様をはじめとして様々な方のサポートのもと無事行うことができました。
この場を借りて御礼申し上げます。