うしお丸調査について,4年生のHさんが報告を書いてくれました!
今回はうしお丸に乗って調査を行ってきました。(函館~道東)
日本沿岸には様々な海棲哺乳類が生息しています。
これらの海棲哺乳類の分布がどのような環境要因によって決定されているかを明らかにするため、本調査では、研究対象海域における海棲哺乳類の地理的分布、物理、生物環境の科学的調査を通して海棲哺乳類による当該海域の利用状況を明らかにすることを目的としました。
コロナの影響もあり、欠航も危ぶまれましたが、なんとか緊急事態宣言も解除され、ワクチン接種を2回済ませ、PCR検査もクリアしたメンバー3人での調査が決定しました。
調査内容としては
・海棲哺乳類目視調査
・計量魚探を用いた音響調査
を行いました。
<海棲哺乳類ポイント制度始まる>
【写真➀:ちなみにこちらがマッコウクジラのブローです。】
台風の影響があり、1日遅れとはなりましたが、10/5に無事函館を出航!
ところが、さっそく悪天候に見舞われました。雨風・波・うねり、すべての要素がうしお初乗船の私に襲い掛かり、午後にはもうノックダウン。夕食も食べられず、早々に寝ました。(うしお丸が揺れるとは聞いていましたがこれほどとは・・・)
ちなみに初日は海棲哺乳類は見つけられず…。
2日目は海も穏やかで天気もよく、目視日和でした。海棲哺乳類も見つかり、一安心。
ここで始まったのが、小型鯨類1点、大型鯨類50点、シャチ100点の海棲哺乳類発見のポイント制度。
私は実はこの時点でまだ1回も先生や先輩方よりも先に鯨類を発見したことがなく、あわあわ…。先生方がイルカなどを見つける中、いないなーとぼやくこと5時間ほど。ブロー(潮吹き)を発見!正確にはわかりませんでしたが、イワシクジラ?と予想されました。その後もザトウクジラやイシイルカも発見でき、先生方との発見競争の舞台に立つことができました。
<マグロなの?イルカなの?>
【写真②:カマイルカのスプラッシュです。背びれが見えるでしょう?】
今回の調査で一番難しかったのがマグロとイルカを見分けることでした。
イルカを発見する際にスプラッシュ(海面を泳ぐときに出る水しぶき)を手掛かりにするのですが、なんとマグロも似たようなスプラッシュを出すのです。なので、スプラッシュを発見しても、すぐにイルカとは判断できませんでした。
ここで皆さんにもイルカのスプラッシュとマグロのスプラッシュを見分ける方法をご紹介します。ここだけの話ですよ?
魚体全体が水面から完全に飛び出る・動きの方向がバラバラ・一回はねたけどしばらく出てこない→マグロ
背びれが見える・動きに統率性がある・一定の間隔でスプラッシュがある→イルカ
もしイルカとマグロを見分けなければならない!もしもそんな場面がありましたらご活用ください!
<海の色に異変!!!>
【写真③:潮目で変わる海の色】
今、道東での赤潮被害がニュースなどでも取り上げられていますが、私たちも実際にその現場を目撃してきました。写真を見ていただければ、一目瞭然ですが、潮目で変わる海の色。沖のほうにまで赤潮が広がってきていました。心なしか、赤潮ゾーンにはあんなにいたマグロもあまりいなかった印象です。やはり魚たちも避けているのでしょうか。
ウニやサケにも甚大な影響があるようです。早く収まることを願うばかりです。
ちなみに赤潮の中でもマッコウクジラはいました。深いところで餌を食べている彼らにはあまり影響はないのでしょうかね。
<うしお丸調査を終えて>
【写真④:最終日うしお丸からの夕日です】
悪天候に見舞われながらも、なんとか調査を無事終えることができました。
シャチを発見することはできませんでしたが、イシイルカやカマイルカ、マッコウクジラをはじめとする大型鯨類も観察することができ、良かったです。
本調査は、調査にご協力いただきましたうしお丸の皆様、厚岸臨海実験場の皆様をは
じめとして様々な方のサポートのもと無事行うことができました。
この場を借りて御礼申し上げます。